昔は自閉症と呼ばれていました。

前回の記事で、発達障害の理解には3つの診断名の知識が必要だと書きました。「自閉スペクトラム症」「注意欠如・多動症」「限局性学習障害」の3つですが、今回はそのうちの一つ、「自閉スペクトラム症」について説明していきます。
もしかしたら「自閉スペクトラム症」という言葉をあまり聞いたことがないという方もおられるのではないかと思います。この言葉が広く使われ始めたのは2014年です。この年に診断基準の変更があり、新しい診断名が出来たのです。つまり、この7~8年で広まった言葉ということです。
では、それまではというと、同じ症状、様態を表すのに「自閉症」「広汎性発達障害」「アスペルガー症候群」「カナー症候群」など様々な診断名がありました。それらを全部ひっくるめて「自閉スペクトラム症」というカテゴリーにしようということになったのです。
なお、「自閉スペクトラム症」という言葉は少し長くて言いにくいので、「ASD」と言われることもあります。Autism Spectrum Disorderの略ですね。
さて、ここからが本題です。自閉スペクトラム症とはどのような症状か。これに関しては、以下の3つの特徴が共通認識となっています。
理解のために、非常にざっくりというと、
(1)特有のコミュニケーションの困難さ
(2)範囲が狭く、繰り返される行動
(3)感覚異常
の3つです。特に「(1)特有のコミュニケーションの困難さ」と「(2)範囲が狭く、繰り返される行動」が中核的な症状と言われます。
なお、こういった発達障害の特徴のことを表すのに、「特性」という言葉をよく使います。「発達に特性がある」なんていう言い方をしたりもします。
次回以降の「発達障害のキソ知識」の記事では、上に書いた自閉スペクトラム症の3つの症状について、少し詳しく説明していきます。