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千葉大学子どものこころの発達教育研究センターの研修会に参加しました

認知行動療法の高機能自閉スペクトラム症者への適用がテーマでした。


2021年7月11日(日)に、千葉大学子どものこころの発達教育研究センター主催の研修会に参加しました。


この日は、まず、松澤大輔先生が「発達障害の理解と支援における認知行動療法への期待」というテーマで、発達障害について概観をお話ししてくださいました。


続いて、清水栄司先生が「うつ・不安・不眠の認知行動療法 発達障害の2次障害の介入として」というテーマで、認知行動療法についての基礎について話してくださいました。

興味深かったのは、社交不安症の認知行動療法として「認知(思考)」「感情」「行動」に加えて、「注意」の偏りをとりあげ、それに対するアプローチを取り入れられていたところ。

これはDavid Clark博士、Adrian Wells博士の社交不安モデルをもとにしているからですが、この考え方は、いわゆるマインドフルネス、ACT、ATT(注意トレーニング)の考え方につながるものでもあります。


さて、ここまでは基礎編。

メインディッシュは、大島郁葉先生の「自閉スペクトラム症者への認知行動療法 認知行動モデルから考える」という講演でした。高機能ASD者のためにカスタマイズした認知行動療法のご紹介で、詳細については、大島先生の著書に譲ります。


この講演で素晴らしかったのは、「なぜ認知行動療法を行うのか、目指すところはどこか」をきちんと説明してくださったところ。心理的不適応と社会的不適応を小さくして、ASDの方が生きやすくなることを目指すということを分かりやすい図を使って説明してくださいました。

ここは議論になりやすい「障害」とはなにか、というところと密接に関係するところです。これを、DSMのD項目の記述の観点からもきちんと説明してくださったその哲学は、「なかなかこういう話は聞けないんだよなあ」と感じました。


さらに千葉大グループはエビデンスを大切にするんだな、と強く感じました。RCTとその手続きを重視していることがわかる発言が散らばめられていました。

日本はエビデンス・ベースト・プラクティス後進国だと言われていますが、頼もしいですね。


そしてこれらを、軽妙で、ユーモアを交えてお話ししてくれたそのプレゼンの力量にも感じ入るものがありました。


個人的には、TEACCHのLaura Klinger博士やChristina Orahovats博士の講演を聴いたときに、知的障害を伴う場合はABA(に基づいた介入)を用い、それはTEACCHらしさでもあるのですが、高機能の方には案外CBT的な介入を行うのだな、と思っていたところがあるので、日本でもこういう取り組みをされているのはとても素晴らしいことだと感じます。


以上、研修会の感想でした!


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